妊娠中・授乳中でもホワイトニングはできる?リスクと代替方法も解説
こんにちは。東京都中央区日本橋にある歯医者「ゆずり葉歯科」です。

ホワイトニングは自分の歯を白くできるため人気があります。妊娠中や授乳中でも「ホワイトニングで歯を白くしたい」と希望される方は少なくありません。
この記事では、妊娠中や授乳中にホワイトニングを行ってもいいのか解説します。妊娠中や授乳中にホワイトニングを行うリスクと、ホワイトニング以外の歯を白くする方法についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
妊娠中でもホワイトニングはできる?

妊娠中はホルモンバランスの変化や生活リズムの変化により、歯の黄ばみや口元の見た目が気になりやすくなります。そのため「妊娠していてもホワイトニングで歯を白くしたい」と考える方も少なくありません。
ただし、一般的には妊娠中のホワイトニングは控えたほうがよいとされています。歯科医院で行うホワイトニングでは、過酸化水素や過酸化尿素といった薬剤を使用しますが、これらの成分が胎児にどの程度影響するのか、現時点では十分なデータがありません。
安全性がはっきりしない以上、母体と胎児を守る観点から、多くの歯科医院では妊娠中の方へのホワイトニングを積極的には行っていません。患者さまご自身が希望された場合でも、妊娠中はお断りする医院が多いのが実情です。
また、妊娠中はホルモンバランスの変化やつわりの影響で、お口の環境が不安定になりやすい時期です。つわりがつらくて歯磨きが十分にできなかったり、食事の回数や内容が変化したりすることで、虫歯や歯周病のリスクが高まりやすくなります。
このようにお口の状態が不安定なときにホワイトニングを行うと、歯ぐきや粘膜がしみたり、知覚過敏のような痛みが出やすくなることがあります。
胎児への影響がはっきりしていないことに加え、こうしたお口のトラブルを避けるためにも、妊娠中のホワイトニングは控えておくことをおすすめします。
授乳中でもホワイトニングはできる?

授乳中も、基本的な考え方は妊娠中と同じです。歯科医院で行うホワイトニングに用いられる過酸化水素や過酸化尿素が、母乳を介して赤ちゃんにどの程度影響するのか、現時点では明確なエビデンスがありません。
「授乳中にホワイトニングをしても絶対に安全」と言い切れるだけのデータがないため、多くの歯科医院では授乳中のホワイトニングも控えるようお伝えしています。
当院でも、母乳を通じた影響の可能性をできるだけ避けるため、授乳中のホワイトニングは原則として行っていません。
歯を白くしたいお気持ちはよく理解できますが、赤ちゃんの成長が最優先となる時期です。ホワイトニングをご希望の場合は、授乳期間が終了し、体調が落ち着いてから改めてご相談いただくことをおすすめします。
妊娠に気づかずにホワイトニングを受けてしまったら

妊娠や授乳に気づく前に、すでにホワイトニングを受けてしまっていたというご相談も少なくありません。
また、「妊娠中や授乳中はホワイトニングを控えたほうがよい」という情報を知らずに、市販のホームホワイトニング剤を使ってしまうケースも考えられます。
一般的には、歯科医院でのホワイトニングやホームホワイトニングを1回程度行ったことで、胎児や乳児に重大な影響が出たという報告はほとんどありません。そのため、妊娠に気づく前にホワイトニングをしてしまった場合でも、過度に不安になりすぎる必要はないと考えられています。
とはいえ、妊娠や授乳に気づいた時点で、ホワイトニングは一旦中止してください。
複数回繰り返していた場合や、使用した薬剤の濃度が高い場合など、不安な点があるときは、歯科医師とあわせて、かかりつけの産婦人科医にも相談しておくと安心です。
妊娠中・授乳中にホワイトニングができない場合の対処法

妊娠中や授乳中は、歯科医院でのホワイトニングを控えたほうがよいとされています。そのため、多くの歯科医院ではこの時期のホワイトニング施術を行っていません。
それでも「人前に出る予定がある」「写真撮影を控えている」など、歯の色を少しでも明るく見せたい場面はあると思います。そのような場合は、ホワイトニング以外の方法で歯の見た目を整えることが可能です。
具体的には次のとおりです。
- 過酸化物を使わないホワイトニングサロンを利用する
- 市販のホワイトニンググッズでセルフケアを行う
- 歯科医院で歯のクリーニングを受ける
- 着色しやすい飲食物や習慣を見直す
それぞれの方法について、妊娠中・授乳中でも取り入れやすいポイントを解説します。
過酸化物を使わないホワイトニングサロンを利用する
いわゆるセルフホワイトニングを行うホワイトニングサロンでは、法律上の制約から、歯科医院で使用するような過酸化水素や過酸化尿素などの過酸化物を扱うことができません。
そのため、多くのサロンではポリリン酸など、歯の表面の汚れを浮かせて落とすことを目的とした薬剤が用いられています。
このような薬剤は、歯そのものの色を漂白するというよりも、表面の着色汚れを分解・除去することを目的としています。そのため、歯科医院で行うホワイトニングのような大きなトーンアップを期待することは難しいものの、「本来の自然な白さに近づけたい」「着色をできるだけ落としたい」という方には一つの選択肢となります。
ただし、ホワイトニングサロンでは、お口の中に直接触れる行為は行えないため、基本的にお客さまご自身で薬剤の塗布やライト照射などの作業を行います。
手順を守らないと、十分な効果が得られない場合もあるため、説明をよく聞いてから利用することが大切です。
また、サロンによっては妊娠中や授乳中の方への施術自体をお断りしている場合もあります。利用を検討される際は、事前に妊娠・授乳中でも利用可能かどうか、どのような薬剤を使用しているかを必ず確認してください。
なお、歯科医師が在籍しているサロンでは、過酸化物を用いたホワイトニングを提供しているケースもあります。
この場合は歯科医院でのホワイトニングと同様に、妊娠中・授乳中は避けたほうがよいと考えられますので、使用薬剤の成分表示を確認し、過酸化水素や過酸化尿素が含まれている場合は利用を控えるようにしましょう。
市販のホワイトニンググッズでセルフケアを行う
妊娠中や授乳中に歯の色が気になる場合は、歯科医院でのホワイトニングの代わりに、市販のホワイトニンググッズを上手に活用する方法もあります。
ドラッグストアや通販サイトなどでは、ホワイトニング成分を配合した歯磨き粉や、歯の表面に塗って色をカバーする歯のマニキュアなど、さまざまな商品が販売されています。
ホワイトニング歯磨き粉は、研磨剤や薬用成分によって着色汚れを落としやすくしたり、汚れを付きにくくしたりすることを目的としたものです。
歯のマニキュアは、歯の表面に白いコーティングを施すことで、一時的に歯を白く見せるアイテムです。いずれも、日常のケアに取り入れやすい方法といえます。
一方で、海外製のホワイトニングジェルやストリップなどの中には、過酸化水素を高濃度で含むものもあります。妊娠中や授乳中は、こうした強い薬剤を含む製品の使用は避けたほうが安心です。
成分表示をよく確認し、過酸化水素や過酸化尿素が含まれているものは選ばないようにしましょう。
歯科医院で歯のクリーニングを受ける
妊娠中・授乳中に歯の色が気になる場合、歯科医院でのクリーニングはとても有効な選択肢です。クリーニングでは、歯の表面に付着した茶渋やタバコのヤニなどの着色汚れを専用の器具で丁寧に取り除き、本来の歯の色に近づけることを目指します。
歯科医院で行う専門的なクリーニングの一つに「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」があります。これは、歯科医師や歯科衛生士が専用の機器とペーストを用いて、歯垢や歯石、バイオフィルムなどを機械的に除去し、歯の表面を滑らかに磨き上げる処置です。
PMTCは、薬剤で歯を漂白するホワイトニングとは異なり、あくまで汚れを落として清掃することが目的です。
そのため、妊娠中や授乳中でも、通常は問題なく受けていただける処置とされています。ご自宅での歯磨きでは落としきれない細かな汚れまで除去できるため、見た目の印象がすっきりするだけでなく、口の中がさっぱりとした爽快感も得られます。
さらに、PMTCは虫歯や歯周病の予防にも役立つとされています。妊娠中や授乳中はお口の環境が乱れやすい時期ですので、定期的にクリーニングを受けておくことで、歯の色だけでなく、お口全体の健康管理にもつながります。
体調と相談しながら、無理のない範囲で受診を検討してみてください。
着色しやすい飲食物や習慣を見直す
妊娠中や授乳中に歯の黄ばみをできるだけ防ぐためには、日々の飲食習慣を少し意識することも大切です。コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレー、濃い色のソース類などは、歯の表面に着色が付きやすい飲食物として知られています。
ホワイトニングができない時期だからこそ、こうした着色しやすい飲食物の摂り方を工夫することで、自然な歯の白さを保ちやすくなります。
例えば、だらだらと長時間飲み続けるのではなく、時間を決めて飲むようにしたり、ストローを使って歯に触れる量を減らしたりする方法があります。
とはいえ、妊娠中・授乳中は食の好みが変わったり、リラックスのために温かい飲み物を楽しみたくなったりすることも多く、着色しやすい飲食物を完全に避けるのは現実的ではありません。そのため、飲食後のケアを習慣にすることが重要です。
可能であれば、飲食後は早めに歯磨きを行い、歯の表面に色素が残らないようにしましょう。外出先などで歯磨きが難しい場合は、水やお茶で軽くうがいをするだけでも、着色成分を洗い流す一助になります。
こうした小さな積み重ねが、ホワイトニングができない期間の歯の色を守ることにつながります。
妊娠中・授乳中に気をつけたいお口のトラブルとセルフケア

妊娠中や授乳中は、ホワイトニングができないことに目が向きがちですが、この時期はそもそもお口のトラブルが起こりやすいタイミングでもあります。
歯の見た目だけでなく、健康面にも配慮したケアを心がけることが大切です。
妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯ぐきが腫れやすくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。いわゆる「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる状態で、放置すると歯周病に進行するおそれもあります。
また、つわりによって歯磨きが十分にできなかったり、嘔吐による胃酸で歯の表面が溶けやすくなったりすることもあります。
授乳中も、育児の忙しさから自分のケアが後回しになり、歯磨きの時間が十分に取れない方が少なくありません。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まることがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、毎日のセルフケアを無理のない範囲で続けることが重要です。体調がすぐれないときは、短時間でも構わないので、やわらかめの歯ブラシを使って優しく磨くようにしましょう。
歯磨き粉の味や香りがつらい場合は、少量から試したり、低刺激タイプのものに切り替えたりする方法もあります。
また、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を取り入れると、歯と歯の間の汚れを効率よく落とすことができます。すべてを完璧にこなそうとするのではなく、できる範囲で続けることが、妊娠中・授乳中のお口の健康を守るうえで大切です。
定期的に歯科検診を受けていただくと、虫歯や歯周病の早期発見・早期対応にもつながります。体調や妊娠週数、授乳状況に配慮しながら診療を進めますので、気になる症状がある場合は我慢せずにご相談ください。
まとめ

妊娠中や授乳中は、ライフイベントや写真撮影の機会も多く、「歯を白くしてきれいな口元で過ごしたい」と考える方が少なくありません。
しかし、歯科医院で行うホワイトニングには過酸化水素や過酸化尿素といった薬剤が用いられ、その胎児・乳児への影響については、現時点で十分なデータがありません。
そのため、多くの歯科医院と同様に、当院でも妊娠中・授乳中のホワイトニングは原則としておすすめしていません。妊娠や授乳に気づく前にホワイトニングを受けてしまった場合は、過度に心配しすぎる必要はないと考えられていますが、気づいた時点で中断し、歯科医師や産婦人科医に相談していただくと安心です。
妊娠中や授乳中に歯の色が気になる場合は、過酸化物を使用しないホワイトニングサロンの利用や、市販のホワイトニング歯磨き粉・歯のマニキュアなどによるセルフケア、歯科医院でのクリーニングなど、薬剤による漂白以外の方法を組み合わせることで、できる範囲で見た目を整えることが可能です。
また、着色しやすい飲食物の摂り方を工夫したり、毎日の歯磨きやフロスを丁寧に行ったりすることも、歯の黄ばみ予防に役立ちます。
妊娠中・授乳中のお口のケアや、出産後にホワイトニングを再開するタイミングについて気になることがあれば、東京都中央区日本橋にある歯医者「ゆずり葉歯科」までお気軽にご相談ください。当院は、子育て中のママとお子様に優しいクリニックを目指して、根管治療や入れ歯治療、ホワイトニング、小児歯科などさまざまな診療を行っています。診療案内ページもぜひご覧ください。
