小児矯正で感じる痛みの原因とは?痛みが続く期間と対処法も
こんにちは。東京都中央区日本橋にある歯医者「ゆずり葉歯科」です。

小児矯正は、見た目の改善はもちろん、将来的な噛み合わせや虫歯・歯周病の予防にもつながる大切な治療です。
しかし、治療中に「痛みがある」と訴えるお子さんも少なくなく、保護者の方が心配になることもあるでしょう。矯正治療による痛みは一時的なものが多いものの、その原因や痛みが続く期間、そして家庭でできる対処法を知っておくことは重要です。
この記事では、小児矯正に伴う痛みの特徴や、親子で乗り越えるためのポイントをわかりやすく解説します。
小児矯正で感じる痛みの原因

小児矯正は、顎の成長を利用しながら歯並びを整える治療であり、多くの場合は永久歯が生えそろう前に開始されます。治療の性質上、どうしても多少の痛みを伴うことがあり、特に治療を始めたばかりの時期や装置を調整した直後に痛みを訴えるお子さまが多く見られます。
では、なぜ小児矯正では痛みが出やすいのでしょうか。ここでは、その代表的な原因について詳しく解説します。
歯が動くことによる生理的な反応
矯正治療は、ワイヤーやマウスピース、あるいは拡大装置などを使って歯や顎に力を加え、徐々に望ましい位置へと誘導していく治療法です。歯は、周囲の骨や歯根膜という組織に支えられていますが、そこに力が加わると、骨が吸収されたり新しく作られたりする現象が起こります。
この過程は自然な反応ではあるものの、組織が変化する際に軽い炎症反応が生じ、痛みや違和感を引き起こします。これは矯正治療における一般的な現象であり、数日から1週間ほどでおさまるケースがほとんどです。
装置が口腔内の粘膜に当たる
矯正装置には、歯の表面に接着するブラケットや、顎の拡大を目的としたプレート、取り外し式の装置などがあります。これらが舌や唇、頬の内側などの粘膜に擦れたり当たったりすることで、口内炎や痛みを生じるのです。
特に、治療を始めたばかりの時期は、口の中が装置に慣れていないため違和感を覚えやすく、食事や会話がしづらくなることもあります。
ただし、粘膜は数日から1週間程度で順応することが多いです。必要に応じて、歯科医院で装置の調整や保護用ワックスの処方を受けることが可能です。
ワイヤーやバネの刺激
固定式の矯正装置に用いられるワイヤーやバネは、歯を動かすために一定の力を加える部品です。
しかし、その先端が飛び出したり、装置がズレたりすることで、歯ぐきや口腔粘膜に痛みを与える場合があります。また、ワイヤーの調整直後は、歯にかかる力が増すため、特に痛みを感じやすくなる傾向があります。
これらの症状は一時的なものであり、通常は数日程度でおさまりますが、強い痛みや出血がある場合は、早めに歯科医師に相談することが大切です。
顎の拡大や噛み合わせの変化による違和感
小児矯正では、顎の成長を促すために拡大装置などを使用することがあります。上顎や下顎の骨格を広げて、永久歯がきちんと並ぶスペースを確保する目的ですが、装置を装着して数日は顎に押されるような感覚が残ることがあります。
また、噛み合わせが徐々に変化する過程で、上下の歯の接触位置にズレが生じ、一時的に噛みにくさや不快感を覚えることもあります。これらもまた、身体が治療に適応していく過程に伴うものであり、多くの場合は時間の経過とともに落ち着いていきます。
心理的なストレス
矯正装置に対する違和感や食べにくさが、精神的な不安やストレスにつながることもあります。お子さまはまだ自分の感情や体調を的確に表現することが難しいため、不快感や心配から「痛い」と訴えるケースもあります。
特に、初めての矯正治療では、保護者の方の声かけやサポートが重要となります。過度に心配するのではなく、痛みの原因や期間について丁寧に説明することで、子ども自身が治療を前向きに受け入れやすくなるでしょう。
小児矯正で痛みが続く期間

ここでは、一般的に痛みが続く期間について詳しく解説します。
初期の痛みは数日から1週間程度
治療を開始した直後や、装置を新しく装着した直後は、歯が動き始めることによる圧迫感や鈍い痛みが生じやすくなります。この痛みは通常は2〜3日で落ち着き、多くの場合1週間以内には軽減していきます。
特に、食事の際に噛む力が加わると痛みが強く出ることがあるため、最初の数日は柔らかい食べ物を中心にするなどの工夫が必要です。
調整ごとの違和感も一時的
矯正装置の種類によっては、定期的な調整が必要となります。ワイヤーや拡大装置の調整を行うと、歯に新たな力がかかるため、再び痛みや違和感が生じることがあります。
ただし、これも一時的なものであり、多くの場合は2〜4日程度でおさまります。子どもによっては、違和感に敏感に反応して痛いと感じるケースもありますが、過度に心配する必要はありません。
長引く痛みは要注意
一般的な痛みは1週間程度で治まることが多いですが、痛みが2週間以上続いたり、徐々に悪化する場合は注意が必要です。装置の一部が粘膜を刺激している場合や、歯ぐきの炎症、虫歯などが隠れているケースもあります。
強い痛みや腫れ、出血などが見られる場合は、早めに歯科医師の診察を受けることが重要です。放置すると治療の妨げになるだけでなく、口腔内の別の問題に発展するおそれがあります。
子どもの感じ方による差もある
同じ治療内容であっても、痛みの感じ方には大きな個人差があります。お子さまの性格や感受性、これまでの治療経験などによっても、痛みへの反応は異なります。
また、痛みに対する不安や緊張が強いと、実際の症状よりもつらく感じられることがあります。そのため、保護者の方が「これは成長に必要な過程なんだよ」と伝えて安心させたり、歯科医師と連携してサポートすることが大切です。
小児矯正で痛みを感じたときの対処法

以下に、矯正中に痛みを感じたときの具体的な対処法を詳しく解説します。
痛みが強いときは柔らかい食事に切り替える
装置の装着や調整後は歯に圧力がかかるため、一時的に痛みが生じ、特に食事の際に違和感を覚えることがあります。噛む力が必要な硬い食材を避け、うどん、おかゆ、スープ、豆腐などの柔らかい食事に切り替えることで、痛みを軽減しやすくなります。
食事は栄養の摂取だけでなく、気持ちを落ち着かせる役割もあるため、子どもが無理なく食べられるメニューを選ぶことが大切です。
市販の鎮痛薬を使用する
強い痛みが続く場合には、小児用の鎮痛薬を一時的に使用することも検討されます。
ただし、薬の使用にあたっては、必ず年齢に応じた用量を守り、歯科医師または小児科医に相談のうえ判断することが重要です。自己判断での継続使用や、複数の薬を併用することは避け、あくまで一時的な対処法として取り入れるようにしましょう。
ワックスを使用する
矯正装置が口の中の粘膜に当たって擦れる場合、痛みや口内炎の原因になることがあります。そのような場合には、歯科医院で処方される専用の矯正用ワックスを使用するのが有効です。
装置の突起部分にワックスを乗せることで、粘膜への刺激を和らげられ、痛みを軽減しやすくなります。もしワックスがない場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。
氷や冷たい飲み物で冷やす
軽度の痛みであれば、冷たい水や氷などで口の中を冷やすことで、症状が和らぐケースがあります。冷却によって神経の感受性が一時的に鈍くなり、痛みが感じにくくなるためです。
ただし、極端に冷たい物を長時間口に含むことは、知覚過敏の原因にもなりかねないため、無理のない範囲での使用にとどめましょう。
声かけで安心感を与える
痛みが続くと、子どもは「このままずっと痛いのでは?」という不安を抱くことがあります。保護者の方が「大丈夫だよ」「だんだん慣れてくるよ」といった安心感を与える声かけをすることで、精神的な負担を和らげられます。
「治療が終わったら、きれいな歯並びになるよ」と前向きな言葉をかけることで、子ども自身のモチベーション向上にもつながります。
歯科医師へ相談する
痛みが1週間以上続いたり、明らかに日常生活に支障をきたしているような場合には、放置せず歯科医師に相談しましょう。装置が合っていない、粘膜を刺激している、虫歯が進行しているなど、思わぬ原因が隠れている可能性もあります。
遠慮せずに現状を伝えることで、装置の調整や必要な処置を早めに行えます。
まとめ

小児矯正では、歯を動かす力によって一時的に痛みを感じることがあります。特に、治療の初期や装置の調整後には、歯や歯ぐき、口内の粘膜に違和感や痛みを覚えるお子さまも少なくありません。
しかし、こうした痛みの多くは数日から1週間程度で落ち着くものであり、成長の一環として前向きに捉えることが大切です。
痛みを和らげるためには、柔らかい食事への切り替えや、ワックスの活用、歯科医師への早めの相談が効果的です。保護者の方の声かけやサポートも、お子さまの安心感につながります。もし不安な症状が長引く場合は、無理に我慢せず歯科医院に相談しましょう。
小児矯正を検討されている方は、東京都中央区日本橋にある歯医者「ゆずり葉歯科」にお気軽にご相談ください。
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